生活保護を受けていると生活や医療の手厚いサポートが受けられることが大きなメリットですが、「近所の人にバレるのが嫌だ」「親族には知られたくない」など、周囲の目が気になる人も少なくありません。
生活保護を受けている人の中には、「子どもの通う学校には知られたくない」「親族への扶養照会はしないでほしい」などと懇願してくる人もいます。
今回は、「生活保護を受けていることは秘密にできるのか」と疑問を持つ方に、どんな場合に生活保護を受けていることが周りに知られるのかついて紹介します。
生活保護を受けていることは秘密にできるの?
生活保護の制度上、職場や学校、親族には秘密にできない仕組みになっています。
例えば生活保護法29条では、福祉事務所が必要なときは、受給者の職場に対して情報提供を求めることができるとしています。
また、小学校・中学校などの義務教育では、給食費の免除にあたって生活保護の受給状況を学校と連携しなければなりません。
親族に対しては、「扶養ができるかどうか」を確認し、扶養が難しい場合のみ、生活保護が受けられることになっています。
けれど、生活保護受給世帯へのプライバシーの配慮は、自立を阻害しないためにも重要なことと考えられているため、秘密にしたい本人の希望に対しては、可能な限り配慮してくれることがほとんどです。
生活保護を受けているプライバシーを配慮してほしい場合は、最初にケースワーカーにしっかり伝えておきましょう。
職場に秘密にしたいとき
「必要なときは、受給者の職場に対して情報提供を求めることができる」ことになっていますが、収入申告をしっかりとしていれば、ケースワーカーが職場に連絡することはありません。
福祉事務所としても、不用意に職場に連絡することが本人のプライバシーを侵害して自立を阻害することは重々承知しています。
職場に秘密にしたいときは、忘れずに収入申告をしましょう。
学校に秘密にしたいとき
通常、小中学校では給食費についての連絡で、高校では、生活保護世帯への免除制度を適用する場合の確認で学校に秘密にすることはできません。けれど、学校が他の生徒や親に知らせることはないので、子どもの学校生活への影響はありません。
自分の子どもが友達に話してバレてしまうことはよくあるため、子どもに隠そうとする親も多いです。
近所に秘密にしたいとき
近所の人には通常、生活保護を受けていることがバレることはありません。それでもバレてしまう原因は次のような場合です。
親族に秘密にしたいとき
生活保護を申請すると、戸籍から親族の居場所を調べられて、「あなたの親族が生活保護を申請していますが、親族のあなたは何か援助できますか?」という手紙を送る決まりになっています。
一般的には「扶養照会」と呼ばれていて、親族の中で扶養できる人物がいるかどうかを照会するためのものです。
扶養照会は、生活保護を開始したあとすぐに、書面などで行われます。
扶養照会とは?
扶養照会は、経済的援助や精神的援助はできるのか・いざという時の緊急連絡先はどこかなどを「扶養義務者」とされる親族に手紙などで確認することです。
当然ですが、経済的援助は強要するものではないし、事情がある場合には、扶養照会自体を断ることができる場合もあります。
扶養照会をすることで、いざという時に行政が親族に繋いでくれるというメリットもあります。
心配なときはケースワーカーに相談を
「生活保護を受けるのは恥」という世論が強いですが、本当に困ったときに頼れる場所・制度があるからこそ、安心して生活できているのです。生活保護を受けていることを後ろめたく思わず、堂々と生活する権利が皆さんにはありますが、それでも生活保護を受けていることを秘密にしたい人はいると思います。心配なときはケースワーカーに相談し、出来る限りの配慮を求めましょう。
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