生活保護を受けて過ごしていると、「こういった場合はお金を出してもらえるのかな?」と、疑問に思うことがありませんか?生活保護というと、毎月決まった日にお金が支給されて、その中で生活をやりくりするというイメージがありますが、生活費以外にも、最低限の生活に必要な様々な費用が出されることがあります。
部屋の修理代もそのひとつ。通常、賃貸住宅で生活している場合、部屋の修理代は貸主が支払うのが一般的です。けれど、貸主が対応しない場合や、そもそも持ち家で生活保護を受けている場合などは、生活費とは別に費用を出してもらうことができます。 そのことを知らず、風呂や網戸が壊れたり、シロアリが発生したりと住環境が悪化しているのに、どうしてよいか分からずに放置して生活している人も多いのが現実です。
今回は、「生活保護を受けて住んでいる部屋の修理代はどうなるのか」と疑問を持つ方に、部屋の修理代が認められるケースと認められないケースについて紹介します。
どんな場合に部屋の修理をしてもらえるの?
下のような場合で、貸主が修理代を負担しない場合や、持ち家で生活保護を受けている場合、住まいの修理に必要な費用が補助されます。
出典:厚生労働省 社会・援護局長通知 第7-4-(2) 住宅維持費
賃貸に住んでいる場合、まずは大家さんに修理してもらえるか相談しましょう。
修理をしてもらえない場合は?
部屋の修理代ならどんなものでも出してもらえるわけではありません。特に下のようなケースでは、「修理費用は出せない」と断られることが多いので、大家さんや建物の管理会社に自分で依頼したり、自己負担する必要があります。
いくらまで出してもらえるの?
部屋の修理代は「住宅維持費」という名前で、地域に関係なく1年間に12万4,000円分まで支給してもらうことができます。
支給方法は、特に決まりがありませんが、修理代を業者に直接支払われるのが一般的です。
この「1年間」は、はじめて住宅維持費を支給してもらった時から1年間です。例えば、令和5年9月1日に窓の網戸を5万円で取り付けた場合、令和6年8月31日までは7万4,000円分の修理代のみを支給してもらうことができます。令和6年9月1日になると、再び12万4,000円分まで支給してもらうことができるようになるのです。
修理代が上限を超えてしまったらどうなるの?
修理代は1年間で12万4,000円までと決まっており、超えてしまった分は自己負担になります。けれど、やむを得ない事情があると判断されれば、「特別基準」として18万6,000円まで支給してもらうことができます。
また、災害にあった場合は、その前に支給されていた修理代に関係なく、12万4,000円(特別基準が認められれば18万6,000円)まで支給されます。
上限額を超えて自己負担になるケースはとても少ないです。
転居する時の部屋の原状回復費用は出してもらえるの?
賃貸の原状回復費用は、賃貸人がその義務を負うことになっています(民法606条)。このため、原則は費用を出してもらうことはできず、最初に支払った敷金などでまかなってもらいます。
ただし、契約の時に敷金を払っていないなどの事情がある場合は、下の条件を全て満たせば費用を出してもらえることもあります。
- 貸主と原状回復の特約があること
- 原状回復の範囲がやむを得ないと認められる範囲であること
- 本人がわざと壊した部分の修理ではないこと
部屋の修理に困ったら
長く同じ部屋に住んでいれば、多かれ少なかれ補修が必要になります。「お金がないから仕方ない」と我慢せず、まずは貸主に相談しましょう。もし対応されない場合には、「住宅維持費」を活用できるかもしれません。
コメント