生活保護を受けて生活してみると、住む場所や食事には困らないものの、最低限の生活費で生活していかなければならず、「今月は厳しいな」と、感じる機会も多くあるのが現実です。
福祉事務所には、「今月は少し買い物をしたのでもうお金がなくなってしまった。来月分を前借りさせてほしい」と、お願いにくる人も実はたくさんいて、そんな人には、当日すぐにお金がもらえる日雇いの仕事をするように伝えています。
今回は、「仕事をしたら生活保護費はいくらになるのか」と疑問を持つ方に、給料と生活保護費の関係について紹介します。
仕事をしたら生活保護費はいくらになるの?
仕事をして収入が入ったら、その全額が生活保護費から引かれるわけではありません。働いた分だけメリットが出るよう、下のように計算して生活保護費を決めていきます。
生活保護費=最低限必要なお金-収入として認定されるお金(収入-(基礎控除額+必要経費))
例えば、一か月の生活保護費が12万円の人が、バイト先から15,000円の月給と5,000円の交通費をもらったとすると、生活保護費は下のようになります。
生活保護費=最低限必要なお金12万円-収入として認定されるお金0円(収入20,000円-(基礎控除額15,000円+必要経費5,000円)
月給の15,000円は基礎控除額として、交通費の5,000円は必要経費として認められるため、収入として生活保護費から差し引かれるお金は0円となります。
つまり、12万円の生活保護費に加えて、働いた分の20,000円も自分で自由に使えるお金となるわけです。
基礎控除額とは?
基礎控除額とは、生活保護受給者の労働意欲を高めるために働いた分だけ得をする仕組みになるよう設定されているものです。給料によって金額がかわります。
収入額 | 基礎控除額 |
---|---|
~15,000円 | 全額控除 |
15,001~15,199円 | 15,001~15,199円 |
15,200~18,999円 | 15,200円 |
19,000~22,999円 | 15,600円 |
23,000~26,999円 | 16,000円 |
27,000~30,999円 | 16,400円 |
31,000~34,999円 | 16,800円 |
35,000~38,999円 | 17,200円 |
39,000~42,999円 | 17,600円 |
43,000~46,999円 | 18,000円 |
47,000~50,999円 | 18,400円 |
51,000~54,999円 | 18,800円 |
55,000~58,999円 | 19,200円 |
59,000~62,999円 | 19,600円 |
63,000~66,999円 | 20,000円 |
67,000~70,999円 | 20,400円 |
71,000~74,999円 | 20,800円 |
75,000~78,999円 | 21,200円 |
79,000~82,999円 | 21,600円 |
83,000~86,999円 | 22,000円 |
87,000~90,999円 | 22,400円 |
91,000~94,999円 | 22,800円 |
95,000~98,999円 | 23,200円 |
99,000~102,999円 | 23,600円 |
103,000~106,999円 | 24,000円 |
上の表のように、給料が増えるほど基礎控除額も増えるので、保護費と給料をあわせればゆとりのある生活ができるようになっています。
生活保護は、働いた分だけ得をするようなシステムになっています。
必要経費とは?
「必要経費」とは、社会保険料や交通費など、その人が働くために必要なお金です。
必要経費として認められると、収入として生活保護費から差し引かれることはありません。
給料が高いと生活保護廃止になるの?
最低生活費よりも高い収入を毎月安定してもらうようになったら、生活保護は廃止になります。
ただし最低生活費よりも高い収入が半年以上続く見込みがなければ、生活保護は廃止になりません。短期間のアルバイトで高い収入を得た場合や、仕事をすぐに辞めてしまった場合などは、廃止にすることはできないのです。
また、持病があって医療費や介護費が高い人は、最低生活費も高くなってしまうので収入が高くても廃止にならないことがあります。
扶養家族が多い人も、最低生活費は高くなり、廃止になりにくいです。
仕事以外の収入はどうなるの?
生活保護を受給している人の中には、病気や高齢で仕事はできないけれど、年金や仕送りなどの収入がある人もいます。それらの収入は、生活保護費から差し引かれるものと、差し引かれないものがあります。
生活保護費から差し引かれない収入
生活保護費から差し引かれる収入
お金に困ったら少しだけでも仕事をしよう
毎月の少ない生活保護費でやりくりするのは、大変です。少しだけでもアルバイトする・余裕資金を残しておくなどで、どんなときにも困らないようにしましょう。
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