生活保護を辞めたいときはどうしたらいいの?

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生活保護を受けて最低限の生活はできるようになったけれど、「やっぱり自分の力で生きていきたい」と考える人も一定数います。

「生活保護は受けるのは難しいけど、やめるのは簡単」だと思っている人も多いのが現実です。けれど、実際はその逆。ケースワーカーには、生活保護受給者が、辞めた後も生活していけるのかをしっかり確認する義務があるため、辞めたい人は辞退届さえ出せば、誰でもすぐに辞められるというものではありません。

今回は、「生活保護を辞めたいときはどうしたらいいのか」と悩んでいる方に、生活保護のスムーズな辞め方を紹介します。

生活保護を辞めたいときはどうしたらいいの?

まずは辞めたいこととその理由を担当のケースワーカーに相談します。

場合によっては、「辞退届を出せば辞めてもいいよ」、と言われるかもしれませんが、「収入が少ないので今は辞めることはできません」と言われることも。私もこれまで何人もの方から、「もう生活保護を辞めたい」という相談を受けてきましたが、すんなりと辞められるケースの方が少ない印象です。辞められない理由のほとんどが、収入が足りていないからという理由。生活保護を辞めてお金が足りなくなってすぐに再開すれば、大変な手間がかかります。再開しなくても、お金がないせいで犯罪行為に走ったり、最悪死んでしまったら、福祉事務所の責任が問われてしまうのです。

それでもどうしても辞めたい場合には、下のような方法があります。

最低生活費以上の収入を得る
最も一般的な方法です。
「最低生活費」は、その人の一か月の「生活費」「教育費」「住宅費」「医療費」「介護費」を足して計算されます。子どもがいる場合は教育費が高くなるし、家族が多い場合は生活費が、たくさん通院している人は医療費が高くなります。
「最低生活費」が高額な世帯は、頑張って働いても生活保護を抜けられないことがあります。
家賃の安い公営住宅などに引っ越しをする
家賃の安い場所に引っ越しをすると、「最低生活費」が下がるので、生活保護を抜けるために必要な月収も低くなります。
年金などで暮らしている場合も同じです。
誰かに扶養してもらう
家族などに扶養してもらうことです。収入の高い人と結婚するという手も。
扶養する相手から「扶養届」を書くように求められる場合があります。
別の自治体に引っ越しをする
引っ越し代を自分で出せるのであれば、別の自治体に引っ越してしまえば、生活保護は強制的に終了となります。
「寮つきの会社で働く」といって家を引き払っていく人もいます。

上の方法の他にも、失踪(生活保護を受けている部屋から逃げ出して戻らない)したり、警察に捕まって起訴されてしまうと生活保護は廃止になります。けれど、どちらも穏やかな方法ではありません。

とにかく「最低生活費を下げる」ことと、「収入を少しでも上げる」ことがポイントです。

辞めるときにはどんな手続きが必要?

生活保護が廃止になる時には、状況によって、下のようにいくつかの手続きが必要になってきます。特に病院にかかる場合は、生活保護が廃止した後すぐに国民健康保険などの保険に加入しておかないと10割の医療費を請求されてしまうこともあるので、必要な手続きをしっかり確認しておきましょう。

最低生活費以上の収入を得る場合
給与明細を受け取ったら、早めに収入申告をして、いつから廃止になるのか確認しましょう。
廃止になると、生活保護の廃止通知書が郵送され、それを持って国民健康保険などの加入の手続きをする必要があります。
家賃の安い公営住宅などに引っ越しをする場合
家賃が下がっても、収入がなければ生活保護を辞められませんが、ある程度の年金や収入がある場合は、引っ越しをした日の翌日以降に生活保護が廃止になります。
生活保護の廃止通知書を必ず受け取り、それを持って国民健康保険などの加入の手続きをする必要があります。
郵送してもらう場合には、郵便局で郵便物の転送手続きをするか、新しい引っ越し先に廃止通知書を郵送してもらう必要があります。
誰かに扶養してもらう場合
実家に帰る場合や配偶者の家に引っ越す場合は、引っ越した日の翌日以降が廃止日になります。
相手から「扶養届」を書くように求められる可能性も。
別の自治体に引っ越しをする場合
引っ越しをした日の翌日以降に生活保護が廃止になります。
生活保護の廃止通知書を必ず受け取り、それを持って国民健康保険などの加入の手続きをする必要があります。
郵送してもらう場合には、郵便局で郵便物の転送手続きをするか、新しい引っ越し先に廃止通知書を郵送してもらう必要があります。

辞めた後、生活に困ったらどこに相談すればいい?

生活保護を受けている間は、生活保護制度の中で利用できるサービスを利用し、困った時にはケースワーカーに相談していましたが、廃止になったら相談先がなくなると不安に思う人もいます。

生活保護を廃止した後、何か相談事をしたい時には、下のような相談窓口を活用しましょう。

困った時の相談窓口
  • 地域包括支援センター 高齢者の暮らしを地域でサポートするための相談・支援窓口です。高齢者に対する総合相談、権利擁護、支援体制づくり、介護予防などを行っています。
  • ケアマネージャー 介護を必要とする方が適切な介護保険サービスを受けられるように調整する専門員です。本人や家族から相談を受け、介護サービスの計画を作成したり、他の業者と連絡、調整等をします。介護の申請をしていない人や、自分のケアマネージャーが決まっていない人は、地域包括支援センターに相談しましょう。
  • ソーシャルワーカー 障がい者支援施設や 保健所、介護老人福祉施設、病院などでさまざまな不安や困りごとに対する支援(ソーシャルワーク)を行う生活相談員です。施設や病院で生活している人は、ソーシャルワーカーに相談しましょう。自立に向けて必要なサポートを一緒に考えてくれます。
  • 民生委員 地域の身近な相談相手として、必要な支援を行う特別職の地方公務員です。福祉活動やボランティア活動などに理解と熱意があるなどの要件を満たす人が選ばれていて、経験豊富な年配の方が多いです。自分の住んでいるエリアの民生委員が分からない場合は、役所に問い合わせてください。
  • 自立相談支援窓口 生活困窮者自立支援制度による相談窓口です。就職、住まい、お金の管理などの生活の困りごとをサポートしてくれます。役所の中などに設置されていますが、場所については役所に問い合わせてください。

一度辞めたらもう受けられないの?

一度辞めても、必要になればいつでも生活保護の申請することができます。例えば、正社員として雇用されて収入が上がったので廃止になったけれど、糖尿病で透析が必要になってしまい、医療費がかさんで生活保護を再度申請することになった人など、病気の悪化が原因で生活保護を再申請する人も多くいます。

過去に受けていたため、話はスムーズに進みやすいですが、辞めた理由が「不正受給をした」「突然逃げ出した」などと穏やかではない場合、指導が厳しくなったり、監視が強くなったりする可能性はあります。

水嶋さら
水嶋さら

仕事を辞めて、また生活保護に戻ってきてしまう人も、実は少なくはありません。

生活保護の仕組みを正しく理解して有効に活用しよう

実は始めるよりも辞める方が難しい生活保護。けれど、自立をしたいと願う受給者のことを、ケースワーカーは全力で支援してくれるはず。新しい生活に向けて、自分にできることをひとつひとつ続けていきましょう。

この記事を書いた人

社会福祉士・認定心理士の水嶋さらです!
1980年代生まれのアラフォー。都内在住。

これまで、福祉事務所や児童福祉施設、更生施設など、様々な福祉現場で働いてきました。
このサイトでは、生活保護を受けている方や、これから受けたい方に役立つ情報を発信していきます。

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