生活保護を受けて生活してみると、住む場所や食事には困らないものの、最低限の生活費で生活していかなければならず、「今月は厳しいな」と、感じる機会も多くあるのが現実です。
次の生活保護費が出るまでに食費すらなくなってしまい、隠れて人からお金を借りる人・家にあるものを売ってお金に変える人も少なくありません。この場合でも、きちんと申告すれば問題ないのですが、それをしなかった場合、後から見つかると問題になります。
今回は、「生活保護を受けている人が収入を隠したらどうなるのか」と疑問を持つ方に、収入申告と生活保護費の関係について紹介します。
生活保護を受けている人が収入を隠したらどうなる?
生活保護を受けている人には収入を申告する義務があり、これを隠して生活保護費を受け取ることは「不正受給」とみなされてしまいます。「不正受給」とは、生活保護を利用する必要がないのに利用したり、嘘をついて必要以上の金額をもらったりすること。厚生労働省によると、生活保護の不正受給で一番多いのが「働いて得た収入」に関する嘘の申告で、全体の6割近くを占めているとのことです。
収入を申告していないことがバレた場合には、その収入を全額返還するように求められ、強制徴収されてしまいます(生活保護法第78条)。
また、ペナルティとして罰金を足されたり、収入をしっかり申告するよう「指示書」を出されて生活保護が打ち切られることも。
さらに悪質な場合は、刑事告訴され(刑法246条)、詐欺だと認められると10年以下の懲役になることもあります。
収入になるものとならないもの
生活保護を受給している人の中には、病気や高齢で仕事はできないけれど、年金や仕送りなどの収入がある人もいます。それらの収入は、生活保護費から差し引かれるものと、差し引かれないもの(収入とみなされないもの)があります。
どのような収入でも、申告はしなくてはなりません。
よくある誤解のひとつに、「知人に1万円を借りたが、すぐに返したので収入にならない」というもの。借金は、すぐに返しても返さなくても、収入としてみなされてしまいます。
このため、この場合だと生活保護費から1万円を引かれて、借りた人に1万円を返すと2万円がマイナスになってしまうのです。
生活保護費から差し引かれない収入
生活保護費から差し引かれる収入
収入があることは絶対にバレるもの?
年金をいくらもらっているか、どんな会社からどのくらい給料をもらっているのか、どの口座にいくら入っていてどんな入金があるのかは、絶対にバレます。
福祉事務所では、毎年「課税調査」「資産調査」をしていて、大抵の収入はこの調査で見つかります。
反対に、現金のみのやりとりは証拠に残らないため、たとえタレコミの電話や噂があったとしても、処分にもっていくのは難しいです。
よく、「あの人は毎日パチンコ屋に入り浸っている」「あの人は風俗店で働いているのに収入の申告をせずに生活保護費をもらっている」「あの人は生活保護だが、駅前のキャバクラで毎日働いているので、たくさん稼いでいるはずだ」などの連絡を耳にすることがありますが、証拠がないと何もできません。
課税調査をしたときに所得税として出てこない収入や、銀行口座に入金履歴がない収入は、不正受給の立証が非常に難しいのが現状です。
調査されない収入
調査される収入
調査ができない収入も、申告はしなければいけないのがルールです。
収入があったら、必ず申告しよう
収入を隠していても、証拠がないため見つからずに生活を続けている人も多くいますが、収入を隠すことは自分自身にとって損することばかりです。収入があった場合には、どんなに小さな金額でも、申告してください。まめに報告をすることで、ケースワーカーからの心証もよくなり、余計な疑いをかけられずにすみます。
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