生活保護を受けていると色々な制約がありますが、医療費がかからないことは大きなメリットです。大きな病気にかかっても安心して病院に通えるので助かっている!という声をよく耳にします。
そんななか、長期に入院が必要になってしまうことも珍しくありません。 生活保護を受給している方からは、「入院したら家賃は出してもらえるのか」「入院している間も生活保護費は変わらずに出るのか」などの問い合わせがとても多いです。
今回は、「入院したら生活保護費はどうなるのか」と疑問を持つ方に、仕事と生活保護の関係について紹介します。
入院したら生活保護費はどうなるの?
生活保護法上、「入院患者」の生活費は23,110円と一律で定められています。
入院中は病院で食事が提供され、光熱費もかからないためです。
「入院患者」とは、病院に1か月以上入院している人のこと。
このため、1か月以内の入院であれば、生活保護費は今までと変わりませんが、1か月以上入院していると、生活保護費のうちの生活費が23,110円に引き下げられることになります。
ここで注意したいのは、年金等の毎月の収入がある人は、生活保護費が減額になることで医療費の自己負担が発生する場合があるということ。
入院によって減ってしまった生活保護費よりも収入の額が高くなってしまうと、その差額分は病院に支払いをしなければいけません。
入院期間が決まっていない場合は?
1か月以上の入院で生活費が変更になるとはいっても、入院期間が決まっていないことの方が多いです。
この場合は、入院が1か月を経過した時点で、生活費の変更処理をされるケースが多いです。
入院してすぐに生活保護費が変わるわけではありません。
1か月以上入院した場合の生活保護費の計算方法は?
入院が1か月を経過した時点で、生活保護費のうちの生活費は23,110円に切り替わります。
とは言っても、月の途中(2日以降)に入院した場合、変更になるのは翌月の1日からです。
例 生活費8万円の人が4月2日に入院して5月10日に退院した場合
- 4月分の保護費 → 80,000円+家賃・加算等
- 5月分の保護費 → 61,036円(※)+家賃・加算等
※61,036円=通常の生活費80,000円-(80,000円-入院の生活費23,110円)×(5月の入院日数10日÷30日)
入院中の家賃はどうなるの?
入院中も家賃は支払われます。
ただし、入院期間が6ヶ月を超えると、3ヶ月以内に退院の見込みがある場合を除いて、家賃の支払いがなくなります。これまでやりくりして貯めてきた保護費で自己負担する人もいますが、たいていは払えません。支払いができない場合は、下のいずれかを選択することになります。
家を引き払い、家財は処分する | メリット 家財の処分は業者に依頼。かかる費用は生活保護費で負担してもらえる。 デメリット 退院したときに帰る家がなく、家財もない状態になる |
家を引き払い、家財はトランクルームなどで保管する | メリット 家財を処分せずにすむため、退院したときに新しく住む場所で困らない デメリット 保管料を自己負担しなければならない場合もある |
入院中の家賃を免除する制度等がある家に住んでいる場合はそれを利用する | メリット 入院が長引いても家を引き払う必要がなくなる デメリット 県営、市営団地など、限られた場合にしか利用できない |
家財だけトランクルームなどで保管する場合は、「家財保管料」が支給される場合もあります。
家財保管料とは?
入院中等の人で1年以内に退院できる見込みのある人にのみ認められる費用です。
月額 14,000円まで
期限 入院または入所してから1年間
期限までに退院できなかった場合は、家財保管費用を自己負担するか、家財を処分することになります。
家財を処分する場合には、処分費用が支給されます。
入院中に自己負担にならないものとなるものは?
入院中は、食事代、光熱費、ベッド代などの自己負担はありませんが、全てが無料になるわけではありません。何が自己負担となるのかを整理し、準備しておく必要があります。
もしものときに備えておこう
病気になって長期間入院すると、保護費はぐっと下がります。もしものときに備えて、少しでも貯金を心掛けましょう。
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