コロナ、物価高、低賃金・・・不安定な状況が続く中、勇気を出して生活保護の相談に行ってみたい!
でも、生活保護を受けて今までの生活が変わるのは怖い。今住んでいる場所を出ていかないといけないのか。相談に行っても軽くあしらわれて追い返されるかも。
そんな不安にかられて、家賃の支払いができないまま途方に暮れていませんか?
生活保護というと不正受給がニュースで取り上げられたり、何かと批判の対象になるので、必要な状況なのに躊躇して、取返しがつかない状況になってから申請にやってくる人達が数多くいるのも現実です。また、生活保護を受けないまま病気が進行したり、命を落としてしまう方も少なくありません。
今回は、「生活保護を受けたいけど、住む場所がどうなるのか気になる」という方に、生活保護を受けて住める部屋について紹介します。
生活保護を受けたら住む場所はどうなるのか?
生活保護を受け始めると、一般的には下のような場所で生活することになります。
賃貸アパート・マンション | 不動産屋で紹介している賃貸アパートやマンションです。ただし、原則、生活保護で決められている上限額以上の家賃の賃貸には住めません。 部屋は自分で探さなくてはいけないので、生活保護の賃貸に強い不動産屋に行くのがおすすめです。 |
団地 | 県営住宅・市営住宅などと呼ばれている、お役所が運営している安いマンションです。広くて綺麗で家賃が安いところが多く、高齢者一人でも住みやすいのが特徴です。 生活保護受給者に限らず入居を希望する人が多く、人気のエリアでは、申し込みをしても抽選になってしまい、なかなか当たりません。 |
老人ホーム | 高齢で介護が必要な老人は、希望すれば老人ホームに入居できます。 入居先は、介護がどの程度必要なのか、親族がどの位面会するかなどで決めますが、都会で暮らしていても、緑豊かな地方の老人ホームに入居する人が多いです。 |
病院 | 常に医療処置が必要な病気や、重い精神病の場合などに長期で入院します。 自宅にある荷物は引き払い、病院が生活の場になります。 |
無料定額宿泊所 | 聞きなれない言葉ですが、社会福祉業界では「無定」などと言われている場所です。正式には、「生計困難者のために、無料又は低額な料金で、簡易住宅を貸し付け、又は宿泊所その他の施設を利用させる事業」のこと。 NPO団体が運営していることが多く、運営には政府への届出が必要です。 ホームレスが社会復帰するまでの間、一時的に利用するケースが多く、「半個室」「完全個室」「食事付き」「就労相談可」など、施設によっていろいろな特徴があります |
簡易宿泊所 | 東京都の台東区にある「山谷」や大阪の「西成」などのドヤ街に多くある格安な旅館です。 家のない日雇い労働者がアパートがわりに使用していることが多いです。 |
保護施設 | 生活保護法によって、自治体などが運営している施設です。 救護施設、更生施設、医療保護施設、授産施設、宿所提供施設があり、逮捕歴があり生活に問題がある人、自分で金銭管理ができない人、薬物依存症の人など、様々な事情を抱えた人たちの生活を施設内でサポートしています。 |
婦人保護施設 | DVやストーカー被害にあっている女性が避難する施設です。 一時的に滞在できる施設や、母子で長く滞在できる施設がありますが、女性の命に関わる問題であるため、所在地は公開されていません。 |
持ち家 | 一軒家やマンションなどに住んでいる場合、通常は、生活保護を受ける前に売却し、生活資金にあてるように指導されます。 物件の資産価値が低く買い手がいない・持ち主が知的障害や高齢などで法律行為をする能力がないなどの理由で、持ち家に住んだまま生活保護を受けることが認められる場合もあります。 |
生活保護受給者の多くは、賃貸アパート・マンションで生活しています。
家賃の上限額とは?
生活保護法では、家賃の上限額を13,000円以内(地方では8,000円以内)と定めていますが、この金額で家を借りられる地域はあまりありません。
このため実際は、「一緒に暮らしている人の人数」「住んでいる地域」「部屋の広さ」ごとに特別基準の家賃の上限額が決められています。
例えば都内では、23区で一人暮らしの場合は5万3,700円(15㎡以上、共益費・管理費別)まで出してもらえますが、奥多摩で一人暮らしの場合は4万900円(15㎡以上、共益費・管理費別)までになります。
自分の住んでいる地域ではいくらになるのかは、物件探しをするときに不動産会社が生活保護の範囲内で住める物件を紹介してくれるので、知らなくても問題ありません。というのも、家賃が低くても、生活保護不可の物件があるため、自分一人で探すことはできないからです。
住んでいる地域の家賃の上限額は、「○○市 生活保護 家賃」などで検索すればすぐに出てきます!
実際の物件探しは、ケースワーカーと不動産屋に確認を取りながら進めていかなくてはいけません。
上限額以上の部屋に住んでいる場合は転居指導をされる
生活保護の申請をした時、住んでいる部屋が生活保護の家賃上限額を超えている場合は、転居指導をされるのが一般的です。転居指導をされた場合、引っ越しにかかるお金は全て出してもらえます。転居は下のような流れで進みます。
①転居指導 | 不動産屋で生活保護受給者が入居可能な物件を探し、速やかに転居するよう指導されます。 「生活保護を開始して一か月以内に」と指導される場合もあれば、「今住んでいる場所が更新を迎える前までに」と指導される場合もあります。 物件探しは一人で行うため、色々な不動産屋を回り、自分が希望する物件を探しましょう。 |
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②物件確認 | 希望の物件が見つかったら、物件の住所や家賃などが分かる資料を不動産屋からもらい、ケースワーカーに渡します。 ここで、家賃や敷金・礼金が上限額以内か、引っ越し先は生活保護の受け入れが可能なエリアかなどが確認されます。 |
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③契約 | 物件確認が終わったら、不動産会社と契約手続きをします。 契約の時にかかるお金は、福祉事務所で受け取って自分で不動産会社に支払うのが一般的です。福祉事務所が直接不動産会社に支払うケースや、ケースワーカーと一緒に銀行から振り込み作業をするケースもあります。 |
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④引っ越しの依頼 | 敷金・礼金等を支払って契約が終わったら、次は引っ越しの業者選びです。 どのように業者を選べばよいかまずはケースワーカーに確認してください。 おすすめの業者を紹介してくれる場合もありますが、一般的には自分で探します。何社か見積をとって、一番安い業者を探しましょう。 引っ越しが終わると、費用は福祉事務所から引っ越し業者に直接支払われます。 |
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⑤家庭訪問 | 引っ越しが終わったら、ケースワーカーが新しい部屋の確認にやってきます。 部屋にエアコンがない、窓に網戸がついていないなど、何か困ったことがあったら、このときに相談してみてください。 |
引っ越しが終わったら担当のケースワーカーが変わることが多いです。
上限額以上の部屋でも住むことが認められる場合
それでは、上限額を1円でもはみ出したら、絶対に住むことはできないのでしょうか。もちろんそんなことはありません。例えば下のような場合には、上限額以上の部屋に住むことが認められる場合があります。
この場合、認められれば、家賃の上限額を上げてもらうことができます。 けれど、上には当てはまる人はごくわずか。
「今の家が気に入っていて、引っ越すことの精神的な負担が大きいから引っ越したくない!」という人もいると思います。それをケースワーカーに相談しても、もちろん認めてもえません。
そんなときは、不動産会社に相談してみてください。例えば、家賃を下げるかわりに、管理費や共益費を上げて支払う金額を同じにしたい、と相談すると、受け入れてくれる可能性はあります。家賃が下がって上限額におさまっていれば、引っ越す必要はなくなるのです。
「管理費」や「共益費」は自己負担とされているため、上限額は特に定められていません。
ただし、少ない生活保護費の中から、高額な管理費や共益費を支払って生活が圧迫されるのはおすすめしません。限度額を大幅に上回る物件に住んでいる方は、引っ越しすることをおすすめします。
生活保護の仕組みを正しく理解して長く生活できる場所を選ぼう
生活保護を受け始めると、それぞれの事情に合った場所で生活することになりますが、多くは、民間の賃貸アパート・マンションで生活しています。一度生活を始めると、引っ越しするのは簡単ではありません。どこで暮らしていくことが自分にとって一番良いのかを考え、長く生活できる場所を選びましょう。
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